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2017.09.10

名作になり損ねたヒッチコックの法廷劇・・・『パラダイン夫人の恋』



DVDで『パラダイン夫人の恋』を観ました。ヒッチコックが『汚名』と『ロープ』の間に監督した1947年作です。名作とは言えませんが、丁寧に作られている佳作ではあります。とにかく、なんだか惜しい映画です。

お話は英国が舞台です。盲目の元軍人パラダイン大佐が毒殺され、アリダ・ヴァリ演じる美貌の若妻が逮捕されます。その弁護を引き受けたのがグレゴリー・ペック演じる少壮気鋭のトニー・キーン弁護士。

トニーはしかし、パラダイン夫人の色香に迷って、連日刑務所を訪れます。そして恋に狂ってどんな手を使ってでも助けようとします。

トニーの妻ゲイは心を傷めますが、トニーはどんどん深入りして依頼人のパラダイン夫人がやめて欲しいと言うにも関わらず、大佐の世話人ラトゥールを犯人に仕立て上げようとしますが・・・。

前半は横恋慕で盲目となったトニーがパラダイン夫人のためと称して自分のための調査を延々と行うところを描き、後半は法廷劇になります。この法廷は実物そっくりのセットとのこと。見事です。

しかし、ここで致命的な欠点があります。トニー役のグレゴリー・ペックがイギリス人にも弁護士にも見えません(本人はイギリス系だし、後に『アラバマ物語』の弁護士役でアカデミー主演男優賞を取ったのは皮肉です)。

判事役がチャールズ・ロートン、同僚のベテラン弁護士役にチャールズ・コバーンと名優を配してますので、ペックが余計に浮いて見えます。

アリダ・ヴァリもなんだか能面のようです。他の女優さんは花がありません。ミスキャストの三乗のようです。

物の本によれば、プロデューサーのセルズニックが、自分の手でシナリオを改変したり、キャストを替えたりと傍若無人だったようなので、無理もないのかもしれません。ヒッチコックも好きな作品ではないようですが、観客にも伝染しますね。

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