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2016年7月の記事

2016.07.15

愛を求めて人生をさまよう男女三人!芦川いづみさんの異色作!・・・『硝子のジョニー 野獣のように見えて』(日活、1962年公開)

 神保町シアターで特集企画「恋する女優 芦川いづみ アンコール&リクエスト」の一本、日活映画『硝子のジョニー 野獣のように見えて』を鑑賞しました。蔵原惟繕の監督、山田信夫の脚本です。

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 芦川いづみさんが薄幸な少女を演じた異色作です。『道』のジェルソミーナを彷彿させるような、今まで観た芦川さんの出演作とは全く違った役どころの作品です。高度成長期以前の日本の地方の貧しさをドキュメンタリーのような映像で描いています。

 貧しさゆえに売られた知的障害のある娘に芦川いづみさん、歌手の過去を持つ女衒にアイ・ジョージ、競輪選手に入れあげている板前崩れの予想屋に宍戸錠、この三人の物語でそれぞれが不幸競争をしているように思えるほどです。

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 初めて俳優としてのアイ・ジョージを観ました。北海道の漁村に人買いに来て、海で体を洗うときの筋骨隆々たる肉体美に驚きです。宍戸錠が優男に見えます。この映画のタイトル前半はアイ・ジョージが歌う主題歌の題名でもあります。名曲です。

 この作品は芦川さん本人が選んだベストセレクション集の「芦川いづみ DVDセレクション」にも収録されています。

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2016.07.09

三本の映画で香山美子さんの魅力を追う!様々な役で魅せる女優魂!・・・『姐御』『人生劇場』『島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん』

 今週末に西横浜のシネマノヴェチェントで女優の香山美子さんがゲストで来館されるイベントがあります。その予習として、香山さんが大きい役で出演している三本の映画をDVDで鑑賞しました。

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 一本目は1972年の松竹映画『人生劇場 青春・愛欲・残侠篇』です。

歩き始めた男の道は止めて止まらぬ任侠の道 広い世間でよく会えた四人男の意気地が揃う!(内容紹介より)

 通算14回の映画化を誇る尾崎士郎の原作ですが、この加藤泰監督作品は評価が高い作品です。原作の「青春編」〜「残俠編」を一挙に映画化しているので、ダイジェスト版のようになっていますが、田宮二郎の吉良常、竹脇無我の青成瓢吉、高橋英樹の飛車角の三人のバランスがとても良く出来ています。

 香山さんは青成と恋仲になって捨てられ、身を持ち崩すお袖の役です。女給を経て女郎にまで身をやつしますが足抜けし、映画の最後には旅館の女将の姿で青成と再会して、吉良常を看取ります。

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 二本目は東映映画『姐御』です。バブル絶頂期の1988年作です。

姐御と呼ばれる女──それは極道社会の中でギリギリの悲しみを引き受けた女。女優・黒木瞳が極道の女の生き様を熱演!(内容紹介より)

 松方弘樹演じる若頭の若妻役で黒木瞳が熱演しているのですが、その姉貴分で小料理屋の女将役を香山美子さんが好演しています。タイトルの姐御は元々は香山さん演じる澄江を指しています。

 とにかくあえて抑揚を付けずに、カタルシスを感じさせずに淡々と進む話に驚きました。かと言ってドキュメンタリータッチというわけではありません。極道の世界なんかこんなもの、ということなのでしょうか?松方と黒木が並んで見せる背中の緋鯉真鯉がとても美しく映えます。香山さんは本当にベテランの味を出しています。

 香山さんが熊本弁で黒木に話す「忘れなっせ、時が経てば、いつか、きっと、忘れられんでも、悲しみだけは、遠くへいってくれる」という言葉が沁みます。でも、黒木は執拗に仇を討とうとします。

 黒木瞳、高部知子、白都真理と、出演する主な女優さん達にはヌードシーンや濃厚な濡場が与えられているのですが、香山美子さんにはありませんでした。

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 三本目は『島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん』でした。2009年の作品です。

原作者の島田洋七自らの監督で再映画化! 島田紳助やそのまんま東、高島礼子、香山美子らが出演


時は昭和33年。居酒屋で働く母子家庭では世話がしきれず、小学校一年生で超がつく貧乏なばあちゃんの家に預けられてしまった昭広少年。

このばあちゃんが明るく逞しい「がばい=すごい」ばあちゃんだった。
初めは不慣れな田舎暮らしにとまどいながらも、生きる知恵とトンチのきいた明るいばあちゃんに育てられ、すくすくと成長してゆく8年間を描く。(内容紹介より)

 香山美子さんはまたしてもタイトルロール、ばあちゃん役で熱演しています。でも、吉行和子や泉ピン子のばあちゃんらしさには負けています。それだけ香山さんは若々しくて、声のトーンも高く、ルックスも垢抜けすぎて貧乏なばあちゃんらしくないと言うことですね。

 映画はばあちゃんが主役ではなく、ばあちゃんに預けられた昭広(洋七)の成長を追うお話でした。

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2016.07.06

香山美子さんの神々しい裸身!淫靡な倒錯の推理劇!・・・『江戸川乱歩の陰獣』(松竹、1977年)

 松竹の1977年作品『江戸川乱歩の陰獣』をDVDで鑑賞しました。1977年の初公開時に劇場で観て以来です。

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 この映画は江戸川乱歩が自分自身をモチーフに描いた本格探偵小説の映画化です。前年に角川映画の『犬神家の一族』が公開されており、あっちが横溝ならこっちは乱歩だ!という流れで作られたのは確かなのですが、明智探偵ものではなくなぜこんなマニア受けする原作を選んだのかは不明です。

隅田川に生首ひとつ。じょんがら節の悲曲が闇を裂いて連続妖気殺人事件の幕が上がる―。香山美子の妖艶な姿態に魅き込まれる!<ストーリー>「私は先生のファンです。」探偵作家寒川(あおい輝彦)にさりげなく近づいた女、静子(香山美子)のうなじにはエロチックな赤いミミズ腫れがあった。その静子が大江春泥から脅迫されているという。 昭和3年、寒川は怪奇幻想が売りの変格派春泥を軽蔑し、批判の文章も書いていた。 春泥は静子の初恋相手だったが、ふられた腹いせに復讐を宣告してきたのだ。脅迫状には静子と夫の夜の秘事まで観察した記録があり、闇に潜む陰獣のような眼に静子は恐れおののいていた。そして第二の脅迫状が届き、予告通り、静子の夫六郎(大友柳太朗)が隅田川に溺死体で浮かび上がった…。(ジャケットの内容紹介より)

 大乱歩が自分にも鞭打ちつつ、変態性をこれでもかとさらけ出して書いたSMテーマの倒錯探偵小説なので、かなり原作に忠実なこの映画も犯人当てなどそっちのけで後半は完全に変態映画になります。当時33歳の香山美子さんのヌードがそれはそれは美しく、神々しいほどです。

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 監督は大ベテランの加藤泰。70年代に入って東映京都から松竹に活躍の場を移し、『人生劇場』、『花と龍』、『宮本武蔵』と大作を立て続けに撮った後の作品です。独特のアングル、色調、画面構成はこの映画が生まれながらにカルト映画となるべき運命だったことを強く感じさせます。

注:"JP"と記載された写真はAmazon..co.jp(日本)に、"UK"と記載された写真はAmazon..co.uk(英国)に、"USA"と記載された写真はAmazon.com(米国)にリンクしていますので、ご注意ください。

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香山美子さんの好演!松竹メロドラマの典型!・・・『命果てる日まで』(松竹、1966年劇場公開)

 DVDで松竹の1966年作品『命果てる日まで』を鑑賞しました。松竹大船の典型的メロドラマで、野村芳太郎が監督しています。原作は『野菊の墓』の菊田一夫です。

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 ストーリーは簡単に言えば二股男が献身的な恋人を捨てて起こる悲劇なのですが、このモテモテの二股男を山口崇がとても憎たらしく演じています。今ならサイテー!と罵られるレベルです。

 このサイテー男に献身的に尽くして捨てられる薄幸な女を香山美子さんが好演しています。サイテー二股男と半同棲状態なのに藤原鎌足演じるダメ親父の所為で結婚に踏み切れないでいるところを、生田悦子演じる西陣の織物問屋の娘に横からサイテー男を掻っ攫われて、もう本当に死んでしまうしかなくなります。これこそ松竹のメロドラマです。

 女優王国らしく、特別出演で岩下志麻、倍賞千恵子、桑野みゆきが、新人として尾崎奈々が彩りを添えています。

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2016.07.03

51年前に憧れた映画はトンデモだった?!一挙に映画の敷居を低くする珍作!・・・『フランケンシュタインの逆襲』(アメリカ映画、1965年日本劇場公開)

 1965年公開のアメリカ映画『フランケンシュタインの逆襲』をDVDで鑑賞しました。同題名のハマーフィルムの映画とはまったく無関係です。

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色んな意味で恐い! 幻のトンデモホラーの傑作蘇る! 解説】 ■1957年にハマーフィルムで製作された「フランケンシュタインの逆襲」とは全くの別物。同じ邦題が故に比較され、酷評され幻となった怪作。 ■長年、日本ではVHS化もDVD化もされず、幻のトンデモシネマが遂に解禁! ■全編に渡り、鬼気迫る意味の無いド派手な演出と薄い内容は近代映画以上! 必ず貴方を魅了する。 STORY】 宇宙からやってきた円盤に乗る男女。 実は地球の女性を我がモノにすべくやってきた宇宙人だった! 次々と誘拐され拉致されモンスターの手に堕ちる美女たち。 彼らを救うべくサイボーグ戦士は戦いを挑む! !(ジャケットの内容紹介より)
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 おそらくは同年公開の東宝映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』に便乗して日本公開されたのでしょう、当時の少年誌にはかなり多くのこの『フランケンシュタインの逆襲』の記事が掲載されていたことを覚えています。

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 それらの記事のほとんどには、半分顔が焼け焦げてフランケンシュタインの怪物状態となったアンドロイドのフランク中佐と火星から来た恐ろしい顔の怪物ムルが戦うというとても魅力的なビジュアルが掲載されていたのでした。

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 雑誌を読んでは胸をワクワクさせてこの映画の公開をとても期待していました。でも、結局なぜか劇場に観に行く機会はありませんでしたし、その後、テレビ放映時も見逃して、ずっと観る機会がないまま今に至ってしまいました。

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 先月とうとうDVDが日本でも発売されましたので、早速買って51年前のワクワク感を思い出しつつ鑑賞しました。そして、画面の前に展開したのはエド・ウッドさえもう少し工夫しただろうに、これと比べればAIPなんか大メジャーだろう、と言わざるを得ないものすごいものでした。

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 子供の自分がワクワクして待っていたのはこんな映画だったのか!なんでこんな映画を日本で劇場公開したのか?!あの頃見なくて良かった!!・・・

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 ・・・いいえ、 51年前の自分に強く言いたいです。この映画は何があっても観ておくべき、そうすればこ どんなひどい映画もこの映画よりはマシ、と思って耐えられるだろうから、得した気分になるよ、と。そう、愛すべきおバカ映画にまた出会えたのでした。

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 しかし、マリリン・ハノルドが楽しそうに演じる火星女王とその腹心のスポック耳したナディール博士(ルー・カテル)のコンビは本当に最高です。この二人を見るだけでもこの映画を観る価値はあるでしょう。

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注:"JP"と記載された写真はAmazon..co.jp(日本)に、"UK"と記載された写真はAmazon..co.uk(英国)に、"USA"と記載された写真はAmazon.com(米国)にリンクしていますので、ご注意ください。

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