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2016年5月の記事

2016.05.24

前半のサスペンスは異常なほど!記憶喪失ものの佳作!…『黒いカーテン』(ウィリアム・アイリッシュ・作、宇野利泰・訳、創元推理文庫)

 創元推理文庫でウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)作の『黒いカーテン』を読みました。宇野利泰さん訳の32版です。現代なら中篇と言っても良いボリュームで、一気に読むには最適です。

Kuriocurtain

ショックを受けたタウンゼントは記憶喪失症から回復した。しかし三年の歳月が、彼の頭の中で空白になっていた。この三年間なにをしてきたのか自分にはわからない。教えてくれるものもいない。しかし無気味につけ狙うあやしい人影が、タウンゼントの周囲にちらついている。異様な状態のもとで殺人罪で追われる人間の孤独と寂寥を、圧倒的なサスペンスで描くスリラー派の驍将アイリッシュの一連のブラック・シリーズもの。(内容紹介より)

 記憶喪失ものなのですが、単純な記憶喪失ではなく、主人公は最初の記憶喪失から戻って記憶喪失中の記憶をまたしても喪失してしまっている、という言わば二重の記憶喪失ものです。

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 また、単なるサスペンス・スリラーではなく、一応お粗末ながらも物理トリックが使われており、謎解きもあってミステリの体裁も取っています。

 しかし、この小説で語るべきは謎解き篇の後半(3章以降)ではなく、やはり記憶喪失の主人公が記憶にない相手から追い詰められてひたすら逃げまくるサスペンスフルな前半です。せっかく三年半ぶりに逢えた妻まで巻き込んで逃亡を図る主人公、ピストルを片手に追ってくる正体不明の男。緊迫した描写の連続には本当に読む方も手に汗握ります。

JP

 正直な話、後半の謎解き部分は蛇足に思えてしまいます。しかも、後半の登場人物からその後の展開が読めてしまうのもいただけないですし、ストーリー展開のためとは言え、犠牲者が出てしまうラストはあまり後味の良いものでもありません。

注:"JP"と記載された写真はAmazon..co.jp(日本)に、"UK"と記載された写真はAmazon..co.uk(英国)に、"USA"と記載された写真はAmazon.com(米国)にリンクしていますので、ご注意ください。

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2016.05.20

死刑囚デッド・エンドものの嚆矢!?『幻の女』以前の名作ハードボイルド・ミステリ!…『処刑6日前』(ジョナサン・ラティマー・作、井上一夫・訳、創元推理文庫)

 創元推理文庫で『処刑6日前』を読みました。ジョナサン・ラティマーの作、井上一夫さん訳の1966年4版です。丁度50年前の本を今読めるのは幸せです。もっとも、原作"Headed for a Hearse"(霊柩車に向かって)が発行されたのは1935年とのことなので、80年近くも前の作品になります。

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別居中の妻を殺した罪で処刑を一週間後にひかえた男が死刑囚監房のなかで絶望から立ちあがった。自分でも自分以外の犯人が考えられない密室殺人の真犯人を獄中から突きとめようというのだ。弁護士、私立探偵、友人などの協力で、一週間たらずの日限をきられた必死の再捜査が開始する。一日一時間が電気椅子へ近づいていく焦燥のうちに、有力な証拠や証人が、謎の黒い手によって、つぎつぎと消されていく。この絶望的状況から真犯人を割り出すみごとさは、まさにハードボイルド派の雄編の名に恥じない!(内容紹介より)

 冬のシカゴ。処刑を6日後に控えた死刑囚三人の描写から始まります。 主人公の死刑囚ウェストランドは妻殺しの罪で電気椅子に座る運命となりました。彼は自分が無罪であることを自覚しているにも関わらず、その運命を甘受しようとしていたのです。しかし、二週間前に届いた一通の手紙を読んでウェストランドは考えを変え、運命に立ち向かおうとします。

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 ウェストランドは株式仲買人で裕福です。刑務所長を買収し、刑事弁護士の第一人者を雇います。そこから死刑直前までの短い時間で何とか主人公を救おうとする取り組みが始まります。刑務所長の部屋に関係者が一同に会して行われる作戦会議の描写はとても面白くて興味深いです。

 主人公に雇われた名うての刑事弁護士フィンクルシュタインと、彼が雇った私立探偵二人組クレーンとウィリアムズのコンビがこの小説の探偵役ですが、NYから来た探偵達はとにかく荒っぽいです。酒に女に喧嘩と、典型的なハードボイルドの登場人物です。

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 死刑囚の主人公にとって救いの神と頼む刑事弁護士フィンクルシュタインも、捜査途中で知り合った女と好い仲になるという展開です。緊迫感のないことこの上なく、本気で主人公を救う気があるのだろうかと読んでいる方が心配になります。それもこれも読者をやきもきさせる手でしょう。

 処刑当日、一堂に介して真犯人を名指しするラストは、この小説が単なるハードボイルドではなく、ミステリーとしての面白さを十分備えたものであることを認識させてくれます。この小説はハードボイルドと謎解き要素の組み合わせがとても魅力的です。意外な真犯人、密室トリックも楽しめます。

 この作品と同じ処刑時刻の迫った死刑囚を救うために真犯人を追うサスペンスである名作『幻の女』は、この小説がなければ生まれなかったでしょう。

USA

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2016.05.15

異邦人と殺人犯の心の交流!カミュの自伝的小説を映画化!…『涙するまで、生きる』(仏=西合作)

 西横浜のシネマノヴェチェントで『涙するまで、生きる』を鑑賞しました。主演のヴィゴ・モーテンセンが制作にも関わったヒューマンドラマです。

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 独立戦争たけなわの1954年のアルジェリアを舞台に、異邦人として生まれ育ったフランス人教師と、教師が憲兵隊に護送を命令されたアルジェリア人の殺人犯との心の交流を描いています。

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 原作はアルベール・カミュの自伝的短編小説です。この映画の主人公のようにアルジェリアに入植したフランス人の父とスペイン系の母を持ちアルジェリアで生まれ育ったカミュは、アルジェリア戦争には心を痛めます。その結果書かれた短編小説『客』を映画化したものがこの作品です。

JP

 異邦人として生まれ育ってフランスに対して複雑な感情を抱く主人公の教師、自分の生死も運命に任せる自己犠牲的な殺人犯、敵味方に別れてしまったかっての大戦の戦友達、独立運動をゲリラとして虐殺するフランス軍、ドラマとしての要素はとても魅力的で、緊迫したシチュエーションが続くのですが、けして冗舌にあるいは声高にならず、さめた視点で丁寧に描いています。結果的に映画としては砂漠の木陰のようなとても静謐なものとなっています。

 主演のヴィゴ・モーテンセンが流暢に、かつシームレスに話すフランス語とアラビア語の音感がとても素晴らしいと思いました。

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2016.05.10

社交界の花形が殺された!暴露日記はどこに!?・・・『虚栄の女』(創元推理文庫、W.P.マッギヴァーン作)

 創元推理文庫の『虚栄の女』を読了しました。W.P.マッギヴァーン作、中田耕治氏訳の初版です。拳銃マークで軽ハードボイルドなのですが、意外な犯人の謎解きもあって社会派ミステリーとしても楽しめる作品でした。

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 戦時中に不正な手段で巨富を得た実業家ライアダンは、当時、社交界の花形だった美貌の女性メイが出版しようとしている日記におびやかされていた。彼女の日記には軍部や政界の上層部、シカゴ暗黒街のボス、財閥などの動きが克明に記されているという話だった。ところが、その問題の女性メイが殺害され、日記が忽然と消失するという事件が勃発した。PR界きっての敏腕をうたわれるジェイクはライアダンから調査を依頼されて行動を開始する。虚栄の女メイの死を背景に組織と人間のジレンマのなかで犯人に肉迫する孤独な男。マッギヴァーンの会心作!

 邦題の『虚栄の女』は社交界の花だったメイ・ラヴァルを指しています。元々ショー・ガールだったこの女性はパトロンと結婚して財を得ます。そして社交界に君臨すると「戦時中、光彩陸離たる名流夫人としての、はなやかな名声は絶頂に達し」て「数百万ドルにおよぶ物資の売買の交渉で、シカゴに出張してくる重要な人物をもてなす非公式のホステスだったし、物資配給の優先権、割当、契約、物資調達といった戦争に従事している人々にとっては、女性のフライデイだった」メイが当時の様子を克明に綴った日記を出版するというのですから、大騒ぎになります。案の定メイは何者かに殺害されてしまいます。

 この小説では警察官や私立探偵ではなく、広告代理店に勤める主人公ジェイク・ハリスンが探偵役を果たします。クライアントの大企業家ライアダンが戦時中にメイと密接な関係だったからです。

 この時代の米国における広告代理店がどれほどの規模でどのような役割を果たしていたか、私には不明なのですが、よく言われるように米国の広告代理店はまさにクライアントである企業の「代理」であって、日本のようにメディアブローカー(主な収入源がメディアからのコミッション)としての役割よりも、より企業の意向に沿ったPR活動を行う傾向にあったことは確かでしょうから、この小説の中のノーブル社のようにクライアントを窮地から救うためには様々な策を弄して活動していたのかもしれません。

 また、作中に上院議員のハムステッドが作った戦時不正利得の追及をする委員会が出てきますが、この類の委員会が本当にあったのかどうかも不明です。この小説が出版された1950年は東西冷戦拡大の時期で、中ソは蜜月となり、朝鮮戦争が勃発しています。この後の米議会は悪名高いマッカーシーが登場して赤狩りを進めます。そんな時代なので、第二次大戦中の軍需産業の不正利得追及が真剣に行われていたとは思えませんから、おそらくは全く架空のお話なのでしょう。

JP

 原題の"Very cold for May"(メイにはとても冷たい)は被害者の名「メイ」と「五月」をかけてあるのかな?と思いましたが、この小説の中では(何月かは書かれていませんが)積もるほどの雪が降っているので、いくらシカゴが寒いとは言え、さすがに季節が5月ということではないようです。

USA

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2016.05.05

終戦翌年のアクションミステリー!多羅尾伴内シリーズ第一作!…『七つの顔』(大映京都、1946年公開)

 DVDで『七つの顔』を鑑賞しました。松田定次監督の大映京都作品です。多羅尾伴内ものの第1作で、ここから大映4作、東映7作のシリーズが始まります。

 終戦の翌年1946年はGHQによって時代劇が禁止されていた時代です。当然、チャンバラに代わるべき画荒唐無稽なアクションミステリーですが、まだシリアスな要素が強く、バカバカしいとまでは言えません。戦後のエンタメ映画を代表するシリーズの様式は第1作から出来ていたのですね。

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2016.05.04

ブイン基地航空隊の戦い!戦況悪化後の0戦奮闘記!…『ゼロファイター大空戦』

 デアゴスティーニのDVDで『ゼロファイター大空戦』を鑑賞しました。森谷司郎初監督作の硬質な空戦映画でした。

 映画は山本大将撃墜の地からほど近いブイン基地航空隊の壮絶な戦いを描いています。物語は山本五十六海軍大将の撃墜シーンから始まり、既に戦況が悪化した時点の話であることが観客に強く印象付けられます。

 加山雄三演じる主人公のブイン基地航空隊八生隊隊長九段中尉は、軍が押し付ける精神論を排して、徹底した理詰めの戦法で米軍と戦おうとします。九段の意外な正体や中丸忠雄演じる同期の参謀とな確執等、ドラマ的にも面白いのですが、やはり空戦特撮の素晴らしさが一番の見所です。

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2016.05.03

本土防衛の紫電改!海軍精鋭パイロット達の戦い!…『太平洋の翼』

 東宝のDVDで『太平洋の翼』を鑑賞しました。局地戦闘機「紫電改」を使用した航空隊の活躍を描く空戦映画です。終戦間近に本土防衛の任に当たった松山の第三四三海軍航空隊(343空、剣部隊)がモデルとなっていますが、あくまでもフィクションであって史実に忠実というわけではありません。

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 監督は東宝戦記ものに欠かせない松林宗恵。天一号作戦のため出撃する大和を松山からの機が護衛してそのまま帰らぬ機があったり、史実を無視してもドラマ性を高める構成も取られており、戦記ドラマとして面白い作品になっています。

 大戦末期なので本土には米軍の爆撃が頻繁に行われています。海軍軍令部は特攻により起死回生を図ろうとしています。そんな中、唯一千田中佐(モデルは源田実大佐)だけが無策な特攻攻撃に異を唱えて、新戦闘機「紫電改」を操る精鋭部隊により制空権を奪還して戦局挽回することを提唱します。

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 この映画の序盤は精鋭部隊の創設が決まり、千田中佐が南方地域に生存している精鋭パイロット達を本土に召喚する過程を描きます。精鋭達は戦闘機が残っていないため活躍する機会もなく、無為に毎日を過ごしていたのでした。召集される精鋭部隊の大尉隊長達には同年の『青島要塞爆撃命令』でも共演した加山雄三、佐藤允、夏木陽介の『どぶ鼠作戦』トリオが出演しています。この三者三様の帰還の過程も映画前半の見せ場です。

JP

 後半は空襲のために飛来する大量の敵機を、松山基地から飛び立った紫電改飛行隊が迎え撃つ大空戦の連続になります。紫電改の見事な離陸シーンや敵機とのドッグファイトなど、まさにこの映画は円谷空戦特撮の白眉と言えます。劇場では未見なので、是非大きなスクリーンで観たいと思いました。

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無敵の石像ゴーレム対究極のサイコ!デザインに難あり?!…『魔像ゴーレム 呪いの影』

 DVDで『魔像ゴーレム 呪いの影』を鑑賞しました。マニアの間では有名な作品なのですが日本では劇場未公開、テレビ放映されただけでビデオ化もされず、今回初DVD化となったようです。

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 虐げられたユダヤ教徒を救うために僧侶によって命を与えられた泥人形である伝説の巨人ゴーレムを扱った映画には、1910~20年代にドイツのパウル・ヴェゲナーが何本か作ったサイレント作品や1935年のジュリアン・デュヴィヴィエ版がありますが、いずれも中世のヨーロッパが舞台になっています。これらの作品は1966年に三本作られた大映の大魔神シリーズに影響を与えたと思われます。

 一方、このイギリス版は中世ではなく、現代(制作当時)のイギリスが舞台となっており、ユダヤ教にも(おそらく)まったく関係なく、ゴーレムの怪物性のみをモチーフに作られていますので、かなりの異色作と言えます。

倉庫が火事になり発見された謎の魔像。 その像がアーサーが勤務する美術館に運び込まれた。 しかし、彼はその彫像が16世紀に作られた兵器ゴーレムだと知り、復活させる事を考える。 復活したゴーレムはアーサーの命令により破壊と殺人を尽くすようになり、ついに英国政府は・・・ (内容紹介より)

 博物館職員アーサー・ピムを演じるロディ・マクドウォールが主役です。アーサーは魔像ゴーレムを操るのですが、実は彼自体がとんでもないサイコ(ヒッチコック版そのもの)で、ゴーレムは添え物的な存在という設定でした。破たんしているのにほぼラストまで読めてしまうストーリー展開の貧しさをマクドウォールの怪演が強引に引っ張っています。

USA

 ゴーレムの造形も何とも言えません。三角形の頭はいったいどこからヒントを得たのでしょうか。でも、とにかくゴーレムは無敵です。軍隊にも敗けません。巻物を口に入れると動き出すという設定なのですが、なぜかそんなことをしなくても見ていないと勝手に動いて殺人迄犯してしまっている気ままなゴーレムです。

 アーサーの妄想内でセミヌードも見せるヒロイン役のジル・ハワースが魅力的なのでまだ我慢できます。

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終戦直前!ジャワ島を舞台にした戦争悲劇!…『ブンガワンソロ』(新東宝、1951年公開)

 DVDで新東宝の昭和26年作『ブンガワンソロ』を鑑賞しました。デアゴスティーニの東宝・新東宝戦争映画DVDコレクション58号です。

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 金貝肖三・原作、市川崑監督・脚本、和田夏十・脚本のインドネシア・ジャワ島を舞台にした戦争恋愛映画です。市川崑監督にとっては新東宝最終作です。

昭和20年8月、インドネシア・ジャワ島の村落に深見、武、野呂ら3人の日本軍脱走兵が逃げ込んできた。そのうちのひとり、野呂はマラリアに感染していたため、村落に住む娘のサリヤの看病を受けた。当初、日本兵を嫌っていたサリヤだったが、彼らの世話をするうちに深見に恋心を抱くようになっていき、やがて3人が村を立つ日が近づいて……。巨匠・市川崑監督が手がけた戦争異色ロマン大作!(内容紹介より)

 三人の脱走兵が逃げ込んだジャワ人一家には息子がいましたが、日本軍に徴用されて過労死してしまいました。それ以来一家の美しい長女サリヤは日本軍を極端に嫌うようになりました。この映画は池部良演じる脱走兵深見と久慈あさみ演じるサリヤとの悲恋を描きます。

 感心したのは映画の冒頭小沢栄(栄太郎)演じるジャワ人の家族がインドネシア語の台詞で会話をするところです。高橋豊子、久慈あさみ、若山セツ子が流暢に台詞のやり取りをします。池部良以外の脱走兵には芸達者な森繁久弥と伊藤雄之助が扮します。東宝特撮映画で軍服姿がおなじみの藤田進、田崎潤も出演しています。

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2016.05.02

モンスターとしての化け猫映画!大映特撮時代劇の頂点!…『秘録怪猫伝』(大映、1969年公開)

 DVDで大映の昭和44年作『秘録怪猫伝』を鑑賞しました。デアゴスティーニの大映特撮DVDコレクション42号です。

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 田中徳三監督のカラーワイド版化け猫映画です。脚本は大映時代劇のベテラン浅井昭三郎、音楽は『妖怪百物語』や『東海道お化け道中』も担当したアニメ・特撮音楽の大家・渡辺宙明です。

八代将軍吉宗の頃。佐賀藩主・鍋島丹後守は、竜造寺又七郎の妹・小夜に執心するが、威信失墜を恐れた家老・矢淵刑部は策を講じ、又七郎は丹後守によって斬殺された。兄の非業の死を悟った小夜は、その復讐を愛猫・たまに託して自害した。魔性となった猫は、鍋島城中に世にも恐ろしい怪異をもたらしていく……。大映怪猫映画、初のカラーシネスコ決定版!(内容紹介より)

 数ある佐賀藩化け猫騒動映画の中でもこれほど怪猫をモンスターとして描き切った映画はないと思いました。毛利郁子演じる化け猫が行灯の油を舐めるシーンの「みぃたぁなぁ〜!」は、子供時代に観たら失神したかもしれません。

 この映画では最初に怪猫に憑依される毛利郁子の扮した中臈沢の井だけではなく、側室お豊の方にも乗り移った化け猫がメイクも物凄く、それはそれはすさまじい暴れ方をします。それに加えて、この映画では一瞬ですが黒猫たま自体が化け猫としてモンスター的に登場します。

 お豊の方を座敷牢に幽閉して周りを大量のロウソクで囲み、山伏たちが折伏しようとするシーンは、まるで数年後に来るオカルト映画ブームを先取りしているようです。確実にハマー・フィルムのドラキュラもの等洋物ホラーの影響を受けていると思います。

 暗い画面に血の赤が効果的です。大映京都が大魔神三部作と妖怪シリーズを制作して特撮時代劇の頂点を極めた60年代の掉尾を飾る傑作だと思います。

JP

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2016.05.01

青いマスクに赤い服!悪のロボットを倒せ!…『超次元ソニックマン』(スペイン映画、日本劇場未公開)

 DVDで1979年製作の日本未公開作品『超次元ソニックマン』を鑑賞しました。真剣にレビューするのが馬鹿らしくなる一本です。

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 宇宙意思が遣わした、青いマスクに赤い服の超人スーパーソニックマンの活躍を描くのですが、何せスペイン製の低予算映画なので、志は高くても結果は当然出せていません。それでも、特撮シーンはそれなりに頑張っていますし、レトロな悪漢ロボットのデザインと活躍が最高です。

宇宙からやってきたスーパーヒーローが悪のマッドサイエンティスト率いる武装軍団と戦う! 解説】 ■監督は「H・P・ラヴクラフトの 新・悪魔の儀式 (1991)」「ブラッド・ピーセス/悪魔のチェーンソー (1983)」「新リバイアサン/リフト (1989)」のファン・ピケール・シモン ■出演は「ガブリエラ (1983)<未>」「ファラオのはらわた (1972)」「処刑男爵(1972)」の名優アントニオ・カンタフォラことマイケル・コビー STORY】 宇宙全体を脅かす無限エネルギーを発見したモルガン教授は、マッドサイエンスト・グリック博士の開発した謎のロボットによって誘拐される。宇宙人クロノスはこの危機を救う為にソニックマンを地球へ派遣した。 彼は、ヒゲの似合う記者ポールと姿を変え地球での調査を開始した。 だが、ひとたび事件が起こると、変なかけ声「スーパーフォース・ウィズ・ミー」と共にスーパーソニックマンに変身し悪と戦うのだ!
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