モリアーチーのブログにようこそ!

 ようこそ、こちらはモリアーチーが体験したイベントや日常生活で興味を持ったことを綴るブログです。

 なお、特撮映画やSF・怪奇小説に関する紹介と感想のブログ『モリアーチーの不思議大好き 』と陸海空の楽しい乗り物やミリタリー系イベント探訪のブログ『モリアーチーのワクワク乗り物図鑑』もこちらのブログに統合いたしましたので、よろしくお願いいたします。


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2018.04.06

竜宮城は月にあった?!元ネタが怪作だからリメイクは大怪作?!・・・アメリカ映画『月へのミサイル』(日本未公開)

 DVDでアメリカ映画『月へのミサイル』を鑑賞しました。日本では劇場未公開です。そりゃそうでしょう。

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迷作「月のキャット・ウーマン」のリメイク。 そもそもオリジナルがとんでもない映画として有名なのに、それをわざわざリメイクしたので、内容はもうハチャメチャ。 でも、心が折れそうになっている時や落ち込んでいる時に観れば、(違う意味で)勇気づけられる、そんな一本。(解説より)

 おそらくヘンテコ映画のコンテストをやれば上位に食い込むことが確実な一本です。なお、『月のキャット・ウーマン』はAmazonプライム・ビデオで字幕なし版を観られます。タイトルからもわかるようにまともな映画ではないですが、まあ、そのヘンテコ映画のリメイクなので当たり前のようにおかしなおかしなお話になっています。

ダーク・グリーン博士は政府高官の傲慢な計画により画期的なロケット計画から外される事になる。 これに憤りを感じた博士は偶然、脱獄した二人組を助手にロケットで発射! そこにまたまた助手のスティーブ・レイトンと恋人ジェーン・セクストンも乗り合わせて5人で月へ向かう事に・・・。(解説より)

 国家の威信を賭けて計画していた月ロケットが脱獄囚なんかに操縦できるものなのでしょうか?!ど素人じゃないですか。それにダーク・グリーン博士の本当の目的は月の女に会いに行く(当然再会です)ことだったのでしょうか!?そんなことに国家予算を使って許されるのでしょうか!?いや、一体全体以前はどうやって月に行ったのでしょうか?そんな細かいことは抜きにして、要はひょんなことから呉越同舟ロケットに乗って月に向かった5人の男女の冒険譚です。彼らが月で見たものは!?と期待させます。まあ、ここまでは百歩譲って許しましょう。

 月に到着すると早速「岩男」が襲ってきます。なかなかユニークです!!まるでパズルのように岩から抜け出てくるのです。これはセンス・オブ・ワンダーを感じます。良い味を出してますが、ものすごく動きが鈍いです、そりゃ岩ですから重いのでしょう。とにかく緊迫感はまるでなしです。一行は岩男からいとも簡単に逃れて洞窟に避難します。すると、そこにはなんと呼吸可能な空気があったのでした。

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 この後は延々と洞窟内でのお話になります。とにかくなぜかレオタードに東洋風衣装で現れる月の美女軍団が見ものです。元々月で生まれ育った人達なのでしょうか?竜宮城のイメージそのもので、鯛や平目は出てきませんが、月の美女がちゃんと舞い踊りもしてくれます。その踊りがまた珍妙です。他に呼び方が思い浮かびません。踊りのシーンは確実にはまります。リピーター続出です。

 美女軍団がSWのランカーのような感じで飼っている巨大蜘蛛(実はそんなに大きくはなくて、蜘蛛にしては大きいということです)も登場します。これは造形が結構良かったのでせめてもう少し大きく見せるとか、凶悪に見せるとかしてほしかったです。操演怪獣なのでヒョコヒョコとやってきますから、もう怖くもなんともないじゃないですか。

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 日本で発売されているDVDはモノクロ版ですが、アメリカではカラライズされています。Amazonプライムビデオで観ることが出来ましたが、なんと月の美女達のお肌はつややかな”青”でした。華やかな極彩色の竜宮城は楽しいでしょうが、青いお顔の乙姫様では興ざめですね。

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2018.03.11

ロジャー・コーマンらしさの極致?!ブロンド美人バイキングの大航海!・・・アメリカ映画『女バイキングと大海獣』

 ずっと観たかった『女バイキングと大海獣』というロジャー・コーマンの監督作品をようやくDVDで観ました。原題は「女バイキングの伝説と大海獣の棲む海への大航海」というような感じで、タイトルからしてこれは死ぬ迄に一度は観ておかねばなるまいと思わせる魅力的なものです。

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 ストーリーはタイトル通りなのですが、なぜ女バイキングが航海に出たかと言えば、三年前に漁に出た男達が帰ってこないので捜しに行くことになったのです。三年も待っていたなんてなんと言うか悠長な。しかも行く行かないを全員がやり投げして決めてます。

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 例によってコーマン映画らしいチープさですが、それでも女バイキングの皆さんは北欧出身の設定ですから金髪でスタイルの良い美人ばかりで、遠くに聳える山には雪も積もっているようなのに寒くないのでしょうか、かなり肌の露出が多いです。とても嬉しい目の保養ではありますが。

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 主人公のデジーア役はアビー・ダルトンで長身のプロンド美人なのですが、私としては小柄でツインテールの妹役の方が断然お気に入りです。

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 デジーアに愛しい人を取られて逆恨みしている巫女のインガーに『蜂女の恐怖』のタイトルロールを演じたコーマン映画の常連スーザン・キャボットが出演しています。彼女だけ女バイキングの中でもブルネットのままです。

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 大海獣は「蛇に短し鰐には長し」と言った感じで、中途半端感が半端ではありません。とてもちゃちではありますが、それなりに雰囲気が出てはいます。大昔の日東プラモの海底怪獣ワニゴンに似ていると言えば似ています。大海獣の登場シーンはミニチュアをプールで撮影してスクリーンプロセスで人間と合わせてますが、これもコーマン映画にしてはまあまあの出来映えです。

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 敵のフン族っぽい蛮族が住む城も良い雰囲気で(当然のことながら他の映画の流用)、まさにB級添え物映画っぽさが満載の愛すべき作品なのです。

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 やることが全然なくて、暇で暇でという時に観ることをお勧めします。

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ジャミラ系SFのお約束?!帰還した宇宙パイロットを襲う悲劇再び!・・・アメリカ映画『宇宙の怪人』

 DVD で『宇宙の怪人』という映画を観ました。身もふたもないタイトルですが、まあその通りのお話なので、シンプルイズベストとも言えます。

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 原題が「宇宙への最初の男」で、基本的には宇宙冒険ものなのです。つまりパイロットの悲劇を描くわけですが、やっぱりそんなのはタテマエ、こじつけでしかありません。怪人が暴れる映画です。

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 怪人はジャミラ系です。宇宙で事故に会って命からがら地球へ帰ってきたパイロットです。『原子人間』や『溶解人間』ほどの大迷惑事件にはなりませんでしたが、『フランケンシュタインの逆襲』(ハマーじゃない方)程度には騒ぎを起こします。

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 怪人は謎の宇宙物質に体中を覆われており、地球に戻ってくるなりなぜか人間を襲ったり、血液銀行で血を飲んだり、キャトルミューテーションしたり、ちょっとわけのわからない暴れ方をします。それでも知性は未だ少しは残っているらしいところがジャミラっぽいですね。

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 この怪人化する宇宙パイロットはこの宇宙計画(なぜか海軍!?)の責任者チャールズの弟のダンで、小さい頃から無鉄砲な性格、兄を困らせるやんちゃな奴でした。

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 チャールズが最後までダンを見捨てないのに対して、ダンの恋人のラテン系美人はダンを見て恐怖に慄くのです。所詮男女の愛なんてそんなもんですね。ダンの最後のセリフが泣かせます。

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2018.02.23

珍しいカンボジアの仏教系ゾンビ!力の使い方を完璧に間違った若き導師!・・・アメリカ映画『ゾンビの反乱』(国内劇場未公開)

 『ゾンビの反乱』は日本では劇場公開されなかった1936年製のアメリカ映画です。クラシックなゾンビ映画ですから、当然リビング・デッド系じゃなくて催眠で操られ系です。しかも、ハイチのヴードゥー教ではなく、なぜかカンボジア仏教の神秘(^^;)
Revolt of the Zombies (1936) - IMDb

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 ストーリーはごく単純です。普仏戦線に投入された仏教系ゾンビ軍の活躍で、なんと第一次大戦に勝利してしまった連合国軍(英仏露伊)は、高僧が操る死なない軍隊であるゾンビの秘密を探るべく大調査隊を組織してカンボジアのアンコール・ワットに派遣します。

 調査隊には隊長デュヴァル将軍のバカ娘クレアがなぜかくっついて来ています。このバカ娘は惚れた男(英国将校クリフォード)を振り向かせるためにフランス軍の純情な将校アルマンドをダシに使います。本当にとんでもないバカ女です。今風のゾンビ映画なら真っ先に八つ裂きにされてぐちゃぐちゃになるべき役です。

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 バカ女と戦友に裏切られて傷ついたアルマンドは一人で仏教ゾンビの秘密を解き明かします。えらい!!よくやった!!そして、自らが導師となって調査隊全員を操り、かつ現地人をゾンビ軍に仕立てて傍若無人に振る舞います。それもこれもバカ娘を取り返すためにです。涙ぐましい努力です。でも、あんなバカ女、放っておけば良いのにと思います。このフランス人将校アルマンドも純情バカです。バカ対バカです。

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 当然アルマンドにとっては悲劇的な最後となります。かと言って見ている方は誰にも感情移入できないままなのでハッピーエンドとも思えず、かなりフラストレーションが溜まったままストレスフルにエンディングを迎えてしまいます。嫌~な気分のまま終わる映画の一本(いや、それほどでもない)です。

 出演はアルマンド役に後に『頭上の敵機』で米アカデミー助演男優賞を獲得するディーン・ジャガー。この人はハマー・フィルムの特撮モンスター映画『怪獣ウラン』にも出演していますね。監督は戦前の職人監督ヴィクター・ハルペリン。この人はベラ・ルゴシ主演の『恐怖城 ホワイト・ゾンビ』も監督しています。そんな関係でこの『ゾンビの反乱』でのアルマンドの催眠シーンは実は『恐怖城』のルゴシの目のアップをそのまま流用しています。

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 珍品とも言えるこの一本なのですが、おバカ映画ではなく、実は結構面白いのです。しかし、アルマンド君、ゾンビ軍を組織できるほどの神通力を持てたら、女のことなんて忘れて、もっと有意義に使うべきですね。国王にだってなれたのにね。

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2017.10.07

幻想推理の傑作?!素人探偵の限界?!・・・『暗い鏡の中に』(ヘレン・マクロイ作、駒月雅子訳、創元推理文庫)

 米国の大物女流作家ヘレン・マクロイが創造した素人探偵ベイジル・ウィリング博士は、ニューヨーク州検察庁の嘱託精神科医です。ウィリング博士が登場するシリーズは全13作ありますが、1作を除いて邦訳されています。

  1. 『死の舞踏』(1938)
  2. 『月明かりの男』(1940)
  3. 『ささやく真実』(1941)
  4. 『あなたは誰?』(1942)
  5. 『家蝿とカナリア』(1942)
  6. 『小鬼の市』(1943)
  7. 『逃げる幻』(1945)
  8. 『暗い鏡の中に』(1950)
  9. 『ふたりのウィリング』(1951)
  10. 『幽霊の2/3』(1956)
  11. 『割れたひづめ』(1968)
  12. 『読後焼却のこと』(1980)

 この『暗い鏡の中に』は初訳は高橋豊さん訳でハヤカワのポケミスで1955年には既に出ており(ハヤカワ・ミステリ文庫には1977年収録)、今回読んだ駒月雅子さん訳の創元推理文庫版は新訳版になります。

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ブレアトン女子学院に勤めて五週間の女性教師フォスティーナは、突然理由も告げられずに解雇される。彼女への仕打ちに憤慨した同僚ギゼラと、その恋人の精神科医ウィリング博士が調査して明らかになった“原因”は、想像を絶するものだった。博士は困惑しながらも謎の解明に挑むが、その矢先に学院で死者が出てしまう…。幻のように美しく不可解な謎をはらむ、著者の最高傑作。  全寮制の女子寄宿学校ブレアトンの美術教師フォスティーナ・クレインは理由も告げられずに解雇されます。まだブレアトンに来て半年も経たないというのに。同僚のギゼラは恋人のベイジル・ウィリング博士に話します。ウィリング博士はギゼラのためか、自身の好奇心のためか、独自の捜査を始めます。(内容紹介より)

   この作品は幻想推理小説の傑作という評判が高いようですが、怪異現象の謎も含めてほぼ完璧で合理的な謎解きをウィリング博士がちゃんと披露しており、幻想推理と言われるのにはちょっと違和感があります。

 但し、この小説で面白いところは、容疑者がウィリング博士の謎解きを一切認めないという意表を突いた展開になっていることで、そのため読者にとっては結末が尻切れとんぼのように思えるものですから、あたかも超自然的解釈もあり得るのかな、と思わせる仕掛けになっています。

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 『暗い鏡の中に』は自作の短編を長編化した作品とのことですが、元の短編とはラストが違っているようです。是非短編の方も読んでみたいと思います。

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2017.09.26

これぞフィルム・ノワール!怒りのボギー!・・・アメリカ映画『キー・ラーゴ』(1948年)

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 『キー・ラーゴ』は1948年のアメリカ映画、フィルム・ノワールの一本です。内容としてはリゾートを舞台にした一種の巻き込まれ型サスペンスで、とにかく出演陣が渋いながらも豪華です。主演はハンフリー・ボガード、共演にはエドワード・G・ロビンソン、ローレン・バコール、ライオネル・バリモア、クレア・トレヴァー、トーマス・ゴメスと名優揃いです。クレア・トレヴァーはこの作品でアカデミー最優秀助演女優賞を取っています。

 お話はフロリダのキー・ラーゴ島が舞台です。戦死した戦友の家族を訪ねてきたフランク・マクラウド少佐が遭遇する事件を描きます。フランクが戦友の家族が経営するホテル・ラーゴに着くと、そこにはなぜか得体の知れない男達がたむろしていました。実はキューバに追放されたマフィアのポス、ジョニー・ロッコが取引のためにホテルを借り切っていたのです。

 ボギーがフランクを、エドワード・G・ロビンソンがロッコを演じています。全編を通じて描かれる二人の対決がこの映画の最大の見どころです。最初は舌戦、そして心理戦から最後の銃撃戦に至るまで、段々対立がエスカレートする過程には手に汗握ります。

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 物語がほぼ全編ホテル内で展開するのは、原作が戯曲だからです。ホテルに足止めされる理由としてハリケーンが襲って来るというのは御都合主義に思えますが、舞台がフロリダなので違和感はなく、緊迫感を高める道具としてこれほど役立っているものはありません。

 何物をも恐れぬロッコが、迫り来るハリケーンの脅威に恐れおののきます。それを見て、フランクはいつも虚勢を張っているロッコの弱さを見抜きます。ロッコ役のエドワード・G・ロビンソンはさすがに上手く、国外追放されて捲土重来を誓うギャングのボス役というのはまさにはまり役です。ロビンソンは憎ったらしいロッコを嬉々として演じています。

 ロッコの部下カーリーは『幻の女』でバージェス刑事を好演したトーマス・ゴメスが演じており、映画を引き締めます。また、ローレン・バコールは亡き戦友の未亡人の役で、次第にフランクに惹かれていく女心をこれまた巧く演じています。

 これぞフィルム・ノワールの中のフィルム・ノワールだと思います。

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2017.09.17

呪文はヤグ・サハ?!AIPのラブクラフト原作二本立!・・・『怪談 呪いの霊魂』『ダンウィッチの怪』



都内某所で未見だったAIPのラブクラフト原作作品を二本鑑賞しました。

一本目は63年作(日本公開は65年)『怪談 呪いの霊魂』です。ロジャー・コーマンが監督した一連のポー・シリーズの一編なのですが、ポーの詩『幽霊宮殿』が英題とはなっているものの、実際はH・P・ラブクラフトの『チャールズ・ウォードの怪事件』をモチーフにしたオカルト色の濃い作品です。

脚本は晩年のチャールズ・ボーモントで、さすがに一捻り二捻りする展開は上手いです。原作の農場地下洞窟での異形の地獄絵図を街中で繰り広げて、ウォードと先祖カーウィンの成り替わりを精神乗っ取りに変更するなど、ボーモントらしいアイデアで作品を面白くしてもいます。

邦題の陳腐さは逆に当時の大蔵映画の開き直りを意気に感じて好ましいし、実際に西洋怪談であり、呪いであり、霊魂だから間違っていません。公開当時は怖くて怖くて、とても観に行けるものではなかったのですが、今となってはコーマンの作った映画群の中では名作となっていることが素直に嬉しいです。

主演のヴィンセント・プライスの顔芸とも言える表情のみでの入れ替わり表現や、この映画を最後に引退したデプラ・パジェットの美貌等も見どころです。AIP特有の毒々しいカラーに彩られたこの作品を鑑賞することが出来てとても満足しています。



二本目は70年の日本未公開作品『ダンウィッチの怪』です。ラブクラフトのファンからも映画ファンからもダメ出しされ続けている珍しい作品で、これも逆の意味で観たかった一本です。

原作に沿って作ろうという意図はわからないでもないのですが、とにかく映像がチープで観ていられません。ラストの丘の上の闘いがまた訳がわかりません。アーミテッジ教授が何をしたのか誰か教えて欲しいです。

邪神の生贄としてウィルバー(犬には噛まれずに元気にヨグ・ソトースを召喚しようと画策する)の手に落ちるヒロインには元アイドル女優のサンドラ・ディー。

『避暑地の出来事』から10年以上経って、こんな映画に出る迄に落ちぶれてしまっていたのかと思うと、可哀想になりました。『避暑地の出来事』の頃はまだハイティーンだったので、この映画でもまだまだ二十代なのですが、顔が疲れています。苦労したのでしょう。

ちなみに、字幕ではヨグ・ソトース(ヨグ・ソトホート)のことを「ヤグ・サハ」と呼んでます。もう、そこからしてNGです。

今ならラブクラフトの諸作品もCGを使いまくって描けるのでしょうが、70年代にアナログな手法で手作り感溢れる邪神世界を描こうとしたコーマンやダニエル・ハラーには敬意を表したいと思います。

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2017.09.16

大撤退戦は時間との闘い!全ては一つの瞬間に収斂する?!・・・英蘭仏米合作映画『ダンケルク』(2017年)

 2Dでクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』を鑑賞しました。本来IMAXで観ないと鑑賞したことにならないのでしょうけれど、付近にはIMAXシアターがないので仕方ない選択です。

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 映画はダンケルク大撤退を描いていますが、

陸:浜辺で艦船を待つ兵士達の一週間
海:徴用されて海峡を渡る英国の民間船の一日
空:作戦を援護するためにたった三機でダンケルクへ向かうスピットファイヤの編隊の一時間

と、三つの視点の時間経過を意図的にずらして紡ぎ合わせてあります。

 ノーラン監督は『イントレランス』を意識したらしいのですが、三つの時間軸は当然106分の中では圧縮度合いが違っています。一つの視点で語られた場面が、また違う視点で再現されるので、ボヤッと観ていると混乱するかもしれません。

 ドイツ軍の兵士は顔を見せません。あくまで撤退する側に焦点を絞っていますが、英軍パイロットで最後まで飛び続けるファリアもずっとマスクをし続けて最後になってやっと素顔を見せます。映画は映像で見せることに徹底して、この伝説の作戦を淡々と描いており、台詞は極端に少なくなっています。

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 ダンケルク大撤退戦での民間船による兵士救出はかなりの部分が伝説だとしても、対岸に居る若者達を救おうとして海峡を渡ろうとした船がいたことは確かでしょう。この映画は未だに現役のそれらの船を使って撮影されたとのことで、英国籍を持つノーラン監督の熱い思いが垣間見えます。

 後半は英国人でなくとも思わず目頭の熱くなるシーンも多くて、ノーラン監督の過去の作品にはない映画体験でした。

 日本では今秋の公開になる『人生はシネマティック!』がダンケルク大撤退のプロパガンダ映画を作る開戦当時の映画界を描いているそうなので、どちらの企画が先なのかはわからないにしても両作品セットで観ておきたいと思います。

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2017.09.13

スパイはスーパーマンじゃない!?・・・イギリス映画『国際諜報局』



スパイものの傑作と名高いハリー・パーマーシリーズの第1弾です。実は初見です。廉価版DVDが出ていたことを知らなかったのです。

原作はハヤカワ文庫NVから出ているレン・デイトンの『イプクレス・ファイル』ですが、原作が一人称なので主人公には名前がありません。ハリー・パーマーはプロデューサーのハリー・サルツマンと主演のマイケル・ケインが付けたとのことですが、間抜けそうな名前を選んだのだそうです。サルツマンさん、自分の名前なのに(^^;

サー・マイケル・ケインと言えばナイトの称号を受けたイギリスの名優ですが、とにかく出演作を選ばないことで有名です。最近ではダークナイト三部作のアルフレッドが当たり役ですが、私は十代で観た『スウォーム』や『殺しのドレス』等のジャンル系での活躍が印象に残っています。どちらかと言えば怪優と思ってしまいます。

『イプクレス・ファイル』は元々レン・デイトンがフレミングのジェームズ・ボンドもののアンチテーゼとして書いたとのことで、『国際諜報局』も原作通り(以上)のいたって硬質の作りになっています。英国的なユーモアはあっても本質的に地味でハードボイルドな国際謀略ものです。

主人公のハリー・パーマー英国陸軍軍曹は占領時期のベルリンで物資横流しに手を染めて軍法会議にかけられたところを情報局のロス大佐にスカウトされます。

この映画では英国の知能とも言うべき科学者が連続失踪する事件の調査をロス大佐がダルビー少佐(ハマーお馴染みナイジェル・グリーン)に指示し、パーマーを少佐のチームにレンタルします。

マイケル・ケイン演じるパーマーは要領が良く、警察の友人を使ってあっという間に犯人にたどり着き、交渉したりするのですが、熱意というよりさっさと仕事を終わらせようとするやる気の無さの表れです。これが上手い。

007の荒唐無稽さと比べると、同じスパイものでもリアリズムなのですが、主人公の危機、意外な犯人、敵側の秘密兵器と、ケレン味も多く、辛気臭くならずに爽やかに全てを解決して、しかも続編もありそうだと思わせて終わるという、正しい娯楽映画のお手本のような作品です。

この時期プロデューサーのサルツマンはボンドとパーマーという対極のスパイ映画を並行して作り続けていたということは驚きです。しかも『国際諜報局』は音楽もジョン・バリーです。ある意味、ボンドとパーマーは英国スパイの両面を見せてくれていたのかもしれません。

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2017.09.12

ハマー・フィルムのミイラ第二弾は残念な結果・・・イギリス映画『怪奇ミイラ男』



ハマーフィルムのミイラ男シリーズ第2弾『怪奇ミイラ男』を何十年ぶりかで鑑賞しました。

テレビで一度観た限りでしたが、アメリカ人に階段落ちさせたり、エジプト人の頭を踏み潰したり、バカなヒロインを抱えて下水道を歩いたり等、ミイラの印象深いシーンは覚えていました。しかし、やはりあの頃の自分は子供だったのですね、謎の男アダムや、興行師キング氏なんてまったく記憶に残っていませんでした。

改めて観てわかったのは、この映画はハマーの中でも駄作の一つです。断言しますが、これと比べれば今夏の『ザ・マミー』なんて歴史的大傑作です。監督がマイケル・カレラスとクレジットされたのを観て、いやな予感がしたのですが、裏切られませんでしてた。

とにかく、登場人物達に魅力がありません。人物設定に深みがまるでないのです。脚本のヘンリー・ヤンガーなんてマイケルのペンネームですからね。みんなマイケルの所為です。

それに出演者自体ももうちょっと何とかならなかったのでしょうか。特に酷いのはヒロインです。美人女優さんを観ることもハマー映画の楽しみの一つなのに、この映画のヒロインであるアネット役のジェーン・ローランドは何で出演できたのか?!と不思議です。

ミイラ男も酷い。安上がりな出来で不恰好です。ハマーの前作『ミイラの幽霊』やユニバーサルのミイラを見倣って欲しかった。まだ次作『ミイラ怪人の呪い』のミイラの方が工夫されています(間違った方向に行ってるけど)。それでも、ラストの下水道を歩くミイラはななかなか絵になってました。

まあ、全体的に及第点とは言えませんが、日本初DVD化で、ハマーのミイラもの全4作がDVDで揃ったことが素直に嬉しいことだけは本当です。ハマーのファンにだけお薦めします。

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